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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

支援の広がり 4(3/3ページ)

2012年4月14日付 中外日報

多くの支えによって普門寺の復旧は進み、目標通り8月初めに本堂向拝の修復が完了した。廃材で継ぎはぎした部分もある。山門の石柱はまだ倒れて割れたまま、境内には再生利用する材木などが所狭しと並ぶ。だが檀家が心寄せる場が再建され、役員や藤本さんらボランティアと棟上げを迎えた住職は目を潤ませた。

同月13日、そこで盆法要を営んだ。犠牲者の慰霊・初盆供養と以前から続けてきた施餓鬼供養だった。地区はまだ水道も電気も通っていない。住職が住民たちを励ますために念願した盆踊りや露店や歌の集いは結局、実施できなかった。

しかし、ボランティアたちの活躍で温かい食事の炊き出しがあり、避難生活中の人たちには服や食器、飲み物などの救援物資を配ることができた。例年80人程度の参加者が120人以上にもなり、久しぶりの笑顔も見られた。

寺で先祖のことを思い、先祖と一緒に楽しい時を過ごす機会でありたい、という願いは実現できた。「もともと泣き虫なので」という住職は、いつまでも続く焼香の列を背中に、読経しながら涙が止まらなかった。

復興にはほど遠い。だが、高齢の檀家、ボランティアの若者、その支え合い助け合う多くの人々の心が一つになった。

扁額代わりに「普門寺」と住職が墨書して張り付けた模造紙のそばに、それより大きなベニヤ板の寄せ書きがある。山梨、千葉、奈良など全国の支援者たちがフェルトペンで記したメッセージ。「元気出そう」「勇気をもらいました」。そして「あきらめない心をありがとう」と。

言葉で「『諦める』とは『明らかに見る』ことだ」と説く法話もあれば、このように心が集う場としての寺で人々が感じ取る真実もある。「泣き虫住職」の話は続く。

(北村敏泰)