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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

支援の広がり 7(3/3ページ)

2012年4月21日付 中外日報

被災地では100以上の寺社教会が避難所として住民を受け入れ、ボランティアなど支援活動の拠点となった所も多い。曹洞宗と関係が深く、宮城県気仙沼市の寺に現地事務所を構えて活動した「シャンティ国際ボランティア会」は、他の多くの寺院の例も参考に、災害時の寺院の活動の手引を発行した。

教訓として「72時間が勝負なので、それを乗り越えられる備蓄と収容人数を考える」「予め行政、自治会、社会福祉協議会、NPOなどと連携を作っておくことが重要」と記し、こんな言葉も掲載している。「いったん受け入れたら最後まで面倒を見るという覚悟が必要」「寺の門は閉じない。住職は絶対に引きこもらないこと」

一周忌を過ぎた春の彼岸。連休を利用して、多数のボランティアが大槌町に入った。何台ものバスで乗り入れ、そろいのベスト、ゼッケン姿の支援者たちがまだ残る瓦礫の片付けなどに汗を流す。中年の女性が、周囲のあまりの惨状に口を手で押さえて泣き伏した。

一方、町の入り口には大型のショッピングセンターやパチンコ店も開店し盛況だ。ログハウスやドームテントの仮設食堂やコンビニでも町の人々とボランティアの交流が生まれていた。

大念寺にも檀家の参拝が絶えなかった。墓地には「3月11日」の日付が入った法名碑も多い。まだ新しい黒御影石に60代の「居士」「大姉」の墓碑銘が並び、線香の煙が立ち上っていた。

ここから、あの日住民らが避難した裏の城山に登った。彼方の海岸まで眼下に広がる荒涼とした光景は変わらない。その街並みの廃虚のあちこちで、自宅の跡にじっとたたずむ人々の姿が目に焼き付いた。

(北村敏泰)