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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

支援の広がり 9(3/3ページ)

2012年4月28日付 中外日報

被災地の修羅場は衝撃だったが信仰は揺るがない。ミサで「地上を旅する教会」という言葉を話す。「この世はあっという間に過ぎ去り私たちは旅人です。何が起きてもそれは過ぎ去る。その中で私たちはいろんなことを学び、人と人との縁を実感することで生きる道が見えてくるのです」

それはと問うまでもなく、「仏教とも通じ合うのは当然です。目指すところは同じですから」との答えが返ってきた。それぞれの宗教の目指すところを、明確に言葉と行いとで示すことが大事だと考える。そんな神父の教会は、半年も留まった僧侶やまるで求道者のようなボランティアたちの心の拠点であり続けた。

この震災では、さまざまなグループ、個人のボランティアが全国各地、世界から被災地に駆け付け、あるいは離れた場所でも支援を繰り広げた。社会福祉協議会などのまとめでは、ピークの昨年4月から5月の大型連休時には、15~18万人が活動していた。

だが秋頃から急速に減り始め、「仕事はあるのに」という現地の声にもかかわらず年明けからは数万人になっているという。累計でも阪神での年間137万人を下回る。

大学生の支援行動調査に関わった渥美公秀・大阪大学大学院人間科学研究科教授(ボランティア行動学)は「『自分などが役に立つだろうか』とためらいの傾向も強いが、それは自己愛の裏返し。とにかく行った方がいい」と指摘する。

釜石の仮設住宅には「ここの方々は優しい人ばかりで、温かさをたくさん頂きました」といった京都の学生たちのメッセージが残されていた。意識調査で「自分の勉強になった」などの感想が多い一方、現地からは「自分の得意なものを押し付けるような方、助けてやっているというような態度の方もいたのは残念」(岩手県の住職)といった声もある。

舟山神父は言う。「苦しんでいる他人に声を掛けることができた人が、身近な親兄弟にもそうできるようになるか、それを問い続けることが大切です」

(北村敏泰)