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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

支援の広がり 13(3/3ページ)

2012年5月10日付 中外日報

大学受験に失敗し、父親の強い勧めで神職養成所に入った。入学前に月山に参拝してその荘厳さ力強さに引かれたが、養成所では溶け込めなかった。職に就いてからも、何か問題が起きても回避する上司に反感を持った。「人々を救う立場なのに」

「生だらな偽善者にはならない」と200日間の禊ぎをする。厳寒期も毎日半時間、禊ぎ場で褌一つで冷水を浴びながら「祓い」の言葉を唱え続けた。そして、人がこの世に生きる意味を深く考え、周囲に問うたが、返ってきた答えは「そんなことを考える暇があったら仕事を覚えろ」。

「でも批判している僕も他人様に迷惑を掛けてきた」。そんな自分のままで、人様のために神前で拝むのはおこがましいと思う。同じころ、東京の野宿者支援グループ代表との出会いを得、地元仙台で活動を始めたことが、「救い」の行いのスタートとなった。

その後に生まれた次男に重い障害があった。「この子にずっと寄り添っていく」、それが社会からはじき出された人々に伴走することと重なった。迷いはなかった。立岡さんも自分の道を「探しに出た」のだった。

仙台市内には120~150人ほどの路上生活者がいる。定期的に現状調査をしている「ワンファミリー」は、その人たちの「いのち」を守るための炊き出し、夜回りから活動を始めた。現在のスタッフは専従、ボランティアを含め22人で、行政とも連携して広範な事業を展開している。

まずは、路上から脱出するために住む所を支援する。無料や低額のアパートなど複数の「シェルター」はDV(家庭内暴力)被害者にも開かれる。要の就労支援は、無農薬野菜作りの農園、里山での炭、きのこ生産などユニークだ。身寄りのない人への保証人、行政窓口交渉への付き添いなどきめ細かく、亡くなった人への葬儀もする。

「決して無縁にしない」ために寺に「一家族之墓」も建立した。活動資金は幅広い寄付で賄い不足分は持ち出しだが、「衣食住から見送りまで徹底的に支えます」と立岡さん。そのような積み重ねが震災で大いに役立った。

(北村敏泰)