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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

支援の広がり 14(3/3ページ)

2012年5月12日付 中外日報

今藤さんも以前、路上生活者だった。調査会社に勤務していたが事情で辞め、暮らしに困った。「ワンファミリー」に救われ、シェルターで生活した後、請われて専従スタッフになった。

軽い知的障害のある30代男性がいた。家族はいるが父親の暴力から兄弟で家出し、寺社の賽銭箱をあさったりコンビニで捨てられた弁当を食べて路上生活していた。刑務所にも入った。今藤さんが何とか説得しアパートに入れた。農作業に誘ううち、「次はいつ?」と少しずつやる気を出す。

ハローワークに一緒に通い、ようやく清掃会社に就職することができた。「障害者枠」ではなく、正社員。「口数は少ないですが、目が生き生きして働く人の顔になりました」。男性は亡くなった母親が大好きで、つらくなるとその面影を求めて田舎へ帰っていたという。「人は絆で生きていますね」

今藤さんもホームレスの時期に実家と連絡を絶った。震災をきっかけに、沿岸地区に住むその母親と互いに安否を案じ、1カ月後に連絡が取れたという。

「ワンファミリー」による被災地支援は、顔と名前を覚え合う、そんなつながりを深めて繰り返し繰り返し行われた。寺や民家の避難所も含め計259カ所。6月までで累計2300種類の物資を3万4227ケース提供した。

需要は日々、変化する。リーダーとして立岡さんは、それぞれの現場の情報をスタッフから聞き取り、明日何が必要か、何をすべきか協議した。毎晩7時ごろから遅い日は午前1時くらいまで打ち合わせや翌日の準備作業をした。それが2カ月以上続いた。

「目の前に困っている人がいたら助けないのがおかしい。当たり前のことです」。それは、ホームレス支援での「子供が泣いてたら誰でも無条件で手を差し伸べるのに、大人だとやれ『自己責任』などと言って助けないのは間違っている。その人には、そうなった事情があるのだから」という信念、行動の原動力と全く同じだった。

その取り組みは現在もなお続く。

(北村敏泰)