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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

支援の広がり 15(3/3ページ)

2012年5月15日付 中外日報

「頑張ろう宮城」の垂れ幕が懸かったJR仙台駅で、ベンチに長時間じっとしている男性が何人かいた。市民団体の調べで、周辺で野宿している数十人の中には仮設住宅から出た人や、復興の土木作業で他県から来たものの仕事がなくなった人もいるという。

逆にその人たちを狙って劣悪な条件で仕事をさせる「悪質手配師」の横行が、地元紙に報道された。「ホームレス支援全国ネットワーク」の昨年の調査では、行政や民間団体の支援がなければ路上生活になる可能性のある人が全国で年間4万人も出ていることが判明している。

立岡さんの言うように、災害が社会矛盾を顕在化させた。「天災は貧富の差なく平等、ではない。困窮者は災害でさらに追い詰められる」と「全国ネット」代表の奥田知志牧師は言う。震災の影響で、以前からの路上生活者は「助けて」と援助を求めにくくなり、支援団体は寄付が減って困窮している。震災前にいわれた「無縁社会」、格差社会は決してなくなってはいないのだ。

立岡さんらが支えたある男性は、何とか職に就くと生活保護の基準を超えたため打ち切られ、職場で人間関係がうまくいかずに退職し、再び生活保護に戻った。「世間は何でも、制度に載ってるかどうかで区別されてしまう。制度からこぼれた人、制度の狭間にいる人を救い上げる仕組みがなければいけません」

「駆け込み寺」の役割を果たす宗教者、そんな思いで寄り添いの「仕組み」を広げて行く立岡さんは、結果として社会の仕組み自体を問う。

「僕たちがやって成功し、『それも必要だね』となれば、結果的に社会が変わります」。立岡さんがそう強く訴えることには、はっきりした根拠がある。

(北村敏泰)