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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

支援の広がり 16(3/3ページ)

2012年5月17日付 中外日報

立岡さんは、このように一人一人に「伴走」してきた。「宗教の役割は重要です。被災地で葬儀などの働きが見直されました。神職も本来なら神様の前で皆さんの困り事に向き合うはず。現状はそうなっていないこともあるが、震災以降も行ってきた事が少しはそれに近づいていればと思います」

この大災害に、さまざまな宗教者が手を携え、遠く離れた場所からも支援をつなぎながら被災者に寄り添い続けた。

日蓮宗では震災直後のガソリン不足の中、青年会が救援物資をリレー方式で現地に届け、インターネットに情報掲示板を設けた。天台宗も物資輸送を継ぎ、浄土宗では滋賀などから大量の米が東北へ送られた。関東地方のイスラームのモスクからは99回にわたって援助隊が派遣され、仏教寺院で作られたおにぎりも託された。

キリスト教、新宗教などが協力してサポートを繰り広げ、各地の現場では異なる宗教者同士が超宗派で、そして「宗教者」ではない人々とも力を合わせて犠牲者の供養に、生活援助に、傾聴活動に奔走した。ネット上の「宗教者災害救援ネットワーク」ではそのような夥しい情報が発信され、アクセスはすぐに数十万回に達した。

そこでは、宗派教派の壁、あるいは「職」として宗教者であるか否かという区別がなくなったように見える。「黄金律」。あらゆる宗教に共通する価値のことだ。

「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなた方も人にしなさい」。聖書「マタイによる福音書」に見えるイエスの言と同じ意味の言葉が、イスラームの聖典クルアーンにも、ヒンズー教の「マハーバーラタ」にも、孔子の「論語」にも、ユダヤ教の経典にもある。そしてブッダの言葉、「法句経」にも。

宗教と宗教者の力が問われる。

(北村敏泰)