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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

駆け付けた人々 4(2/3ページ)

2012年5月31日付 中外日報

目標は被災者の自立。「単に物を持って行くだけで地元の商売を圧迫してはならない。あくまで何かをするためです」。100以上の支援先でそれぞれ何が必要なのか、当初から皆で情報交換をした。NPOの事務所、役場や農家の軒先でのミーティングで次々と「任務」が決まる。

泥出し、季節で変化する衣料や寝具の需要。農家で作ったイチゴを市場に出したり、畑に菜の花を植えてバイオ油を採ったり。9月からは小さな仮設住宅や在宅被災者にも力を入れるため川浪さん自身も配送に回った。そして人々の気持ちへの距離がより縮まった。

11月に同ネットと2生協とで「共生地域創造財団」が設立され組織が強化されても、その寄り添いの姿勢は不変だ。長期にわたり仕事をするため現地での「生活保護を受けない程度」の生活費が財団から川浪さんに支給されている。

例えば食品を手渡したおばあさんが紙おむつを希望する。パンツ型と指定もされる。「そんな付き合いをしてるから、その人が普段どんな生活をしているかよく分かり、対応もできる」

そういうところにこそ人を救うという生きた仏教があると確信している。例えば関西の習わし、僧侶が月命日に訪問する逮夜参りと同じ。釜ケ崎でも川浪さんは年金暮らしの高齢者を定期的に訪ねていた。「結果として、見守りになっているのです」

「信仰は表に出して押し付けるものではなく、バックボーンであればいい」という川浪さんは、法衣を大阪に置いてきた。だが半年目の犠牲者供養の際、地元の超教派の宗教者グループの依頼で弔い、つまり外見上も「僧侶らしい」ことをした。しかしそれは「現地で働いているからこそ」だと思っている。

一方でその「バックボーン」は筋が通る。菩薩が持つ「六神通」の力とは本来は、「その人、そのことの社会的背景を見ること。誰もが見たくないようなことに対応する力」だという。自分がしていることが「菩薩行」などとは思っていないが、仏教者の務めは「おむつを所望するおばあさんを『教化』することではなく、実際に行いをして寄り添うこと」。