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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

駆け付けた人々 6(3/3ページ)

2012年6月7日付 中外日報

道路工事警備の仕事をし白髪でずっと高齢に見える女性(58)が「仏教でもアーメンでも、こうやって皆が集まって弔うのはとてもいい」とうなずいた。皆、人懐っこい。屋台で談笑した、空き缶集めで暮らす元船員の男性は本田神父を指し、「話がよう分かる。私のラビ(導師)や」。神父は「そこは違うよ。ラビはあんたの周りの仲間や」と返した。

顔なじみのおっちゃんと話し込む川浪さんは「以前はドヤ(簡易宿泊所)で亡くなる人も多かった。アルコールによる肝硬変、結核です。路上死もね」。その死に徹底的に添う覚悟だ。

高度経済成長時代を土木建設で支えた釜ケ崎は今、1万数千人といわれる労働者の高齢化が進み、失業して日雇いからもあぶれ、ホームレスや生活保護受給者が多い。

周辺の簡易宿泊所は軒並み、保護費向けの福祉マンションになっている。職を斡旋する「労働福祉センター」では、玄関に「明日の紹介人数196人」の告知に加え、閉じた鉄扉に「食べ物ありません」の張り紙。高さ2メートルほどのブロックの上にさらに高く有刺鉄線が設置されていた。

川浪さんは震災後の4月に釜ケ崎で知人から聞いた。「東北での運転手の求人があり、日給が1万4千円と高いから出掛けたら、福島原発での仕事やったので逃げて帰ってきた」

今年1月には、福井の関西電力大飯原発で労働者派遣の偽装請負事件が警察に摘発された。暴力団がらみの「手配師」という斡旋業者が釜ケ崎のような各地の「寄せ場」で労働者を集め、高い放射線量の現場で危険な仕事を強いた上に日当をピンはねする実態が新聞各紙で報道された。

埼玉で昨秋に開かれた宗教者のシンポジウムでは、日本福音ルーテル稔台教会の牧師が、日雇いの野宿者に危険な被ばく労働が集中していると訴えた。

(北村敏泰)