ニュース画像
北山十八間戸の法要には100人以上の参列者が詰め掛けた
主な連載 過去の連載 エンディングへの備え
苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
購読のお申し込み
新規購読キャンペーン
紙面保存版
トップ> いのち寄り添うリスト> 駆け付けた人々 9
いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

駆け付けた人々 9(1/3ページ)

2012年6月16日付 中外日報
入居者10人が犠牲になった老人施設たまゆらの火災現場。四十九日法要の祭壇に似顔絵しかない人たちも(2009年5月6日、群馬県渋川市で)
入居者10人が犠牲になった老人施設たまゆらの火災現場(2009年5月6日、群馬県渋川市で)

「ひとの痛み分かる人に」

教えられた縁の大切さ

3年前の5月、群馬県渋川市の郊外。焼けただれた老人施設の前に祭壇がしつらえられ、僧侶らが読経した。3月に起きた「静養ホームたまゆら」の火災で犠牲になった入居者10人の四十九日法要に、東京の真宗大谷派僧侶、中下大樹さん(36)も参列していた。

安全対策が不備として関係者が業務上過失致死罪で起訴され、入居者の多くが東京都内で生活保護を受けて同施設を紹介されていた実態も判明するなど、高齢者福祉の「闇」の部分が明らかになった。死者の遺骨引き取り手がなかなか見つからない。遺影さえなく祭壇脇には代わりに似顔絵が掲げられた。

「無縁社会」。あらためて衝撃を受けた中下さんは、貧困問題に取り組む市民団体の仲間と集会なども開き、行政への働き掛けもしている。

並行して、生活困窮者の弔いや遺骨引き取りまでをする「葬送支援ネットワーク」を設立し、別に超宗派の僧侶や医療、福祉関係者、法律家らとつくった「寺ネット・サンガ」で、多様なトラブル、悩み事を抱える人々への「ワンストップ」による支援をしている。

「『こんな世の中でいいのか』と突き動かされてやってきました」という中下さんの場合、その根底には「悲しみ」があるという。そのような姿勢から震災後は被災地の支援へと至った、その道のりの始まりは、新潟県長岡市の仏教系病院のホスピス(緩和ケア)でビハーラ僧として末期患者に接したことだった。