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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

駆け付けた人々 10(2/3ページ)

2012年6月19日付 中外日報

被災地では人と人との縁が見直された。津波の後に真っ先に見に行ったのは、家や先祖の墓であり、村祭りに皆で担ぐ神輿の倉だった。だがそんな血縁、地縁、会社縁がどこでも薄れつつある。

中下さんが人々の相談を受けていた福島では「放射能より人間の方が怖いと思う時がある。原発・放射能の話をするだけで圧力がかかる」との話を聞いた。「被災者は補償金もらって朝から酒飲んで、パチンコばかりしている」の声も。

働き場もないなど誰もが苦難にあるにもかかわらず地域のつながりが分断されている。岩手では、無職で実家に引きこもっていた30代の女性が、「被災した人が大変なのに自分は邪魔な役立たずだ」と自死した。東京で派遣切りに遭って戻り、地元でも仕事がなく鬱状態だった。「どれも社会的な矛盾が要因です」

厚労省の調査では、この4月下旬に雇用保険の失業手当が切れた被災者のうち、就職できず求職活動もしていない人は福島県では20%にもなった。避難などで将来の見通しがないからだ。総務省統計の推計では、未婚で親と同居し「パラサイト・シングル」と呼ばれた人が35~44歳では6人に1人、300万人に上ると報道された。

かつて頼りだった縁に対し、「第4の縁」をいかにつくるか。中下さんは言う。それは社会問題も含めたさまざまな困難に共に向き合う「悲しみ」の縁だと。「四苦。できれば見たくはないがそれへの向き合いで互いにつながることができればいい。それが仏教の場ならなおさらです」