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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

支える思い 2(3/3ページ)

2012年7月7日付 中外日報

だが現実には、自死者3万人超は14年連続。内閣府のこの1月の調査では、「自殺を考えた」人が20代では28%にも上り、警察庁の調べによると実際に例えば、昨年中に就職活動の失敗を苦にして命を絶った10~20代が150人に達した。前途ある若者を死に追い込む、そんな日本社会だ。

震災関連では、内閣府自殺対策推進室の調べで昨年6~12月の間だけで55人にも上ったが、「氷山の一角」だ。先に東京で行われた宗教関係者のシンポジウムで、岩手の真宗僧侶は、仮設住宅で経済的困窮や孤立が深刻になり3日で3人が亡くなった例を報告。「『あのおやじが我慢しきれなかったのだから』と自死の連鎖が起きている」と対応を訴えた。

釜石では津波で親と家をなくした54歳の主婦が海に身を投げた。石巻の49歳男性は、新築の自宅も仕事もなくしローンだけが残ってアパートで自死した。

福島原発の事故で避難を強要され鬱になって自死した主婦(58)の夫は「同じように苦しんでいる人が泣き寝入りしないように」と東京電力に賠償を求めて5月に提訴した。全て、いのちのセーフティーネットが欠如した社会の問題だ。

東北は以前から自死が多かった。「人口10万人当たりの自殺者数」(警察庁)は平成23年も前年に続き全6県で全国平均を上回り、特に秋田と岩手では飛び抜けている。そこには明らかに社会の構造的要因がある。

震災はそれへの追い打ち。「もともとマイナス10がマイナス100になって一体どこへ戻れるのか」と地元の人が言う。

藤澤住職は「そんな状況で自分一人だけが生き延びれば地獄だと思うのが自然」とその心境を推し量る。自死対策活動の経験から目指す「悲しみの分かち合い」はそこからこそ始まる。

(北村敏泰)