ニュース画像
北山十八間戸の法要には100人以上の参列者が詰め掛けた
主な連載 過去の連載 エンディングへの備え
苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
購読のお申し込み
新規購読キャンペーン
紙面保存版
いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

支える思い 5(1/3ページ)

2012年7月21日付 中外日報
仮設商店街の飲食店では、地元の人々同士の話に花が咲く。少しずつ活気が見えてきた(岩手県大槌町で)
仮設商店街の飲食店では、地元の人々同士の話に花が咲く

未来に誇りを持てる町に

行いをもって「伴走」

四十九日の翌日になる4月29日、岩手県大槌町吉里吉里の曹洞宗吉祥寺で犠牲者の「合同葬」が営まれた。葬儀もままならない遺族からの要望もあったが、打ちひしがれたままの檀家の様子に、高橋英悟住職(39)も「どこかで区切りをつけねば」と強く感じていた。

だが「遺体が見つかっていないのに?」との声も出、ツイッターにも書き込みが。「仏弟子になる戒名は本来、生前にもらうもの。もし幸い生きておられたら、お帰りまでそれがお守りになるから」と檀家に個別に説いて回った。多くが希望し、死者90人と不明者78人の供養となった。

毎夜9時に避難者の世話などを終え、皆が寝静まってから庫裡で一人一人を思い浮かべて戒名を付けた。穏やかな笑顔から「春」。地域に尽力した人に「慈」。夫婦なら同じ字や互いの名の1字を入れる。申込書に故人の思い出をぎっしり書いてきた人もいる。

顔も声も知っている人たちの人生をなぞっている気持ちになった。辞書を傍らに紙に向かう筆の手が何度も止まり泣きっぱなしになった。2、3時間しか眠らず、憑かれたように20日間続けた。「皆さまを安心させたい一念で、仏様の力があったからこそできました。何年分泣いたことか」