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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

支える思い 6(1/3ページ)

2012年7月26日付 中外日報
地元の人々の復興のシンボルにもなっている「ひょうたん島」。津波で灯台が流失した(岩手県大槌町で)
地元の人々の復興のシンボルにもなっている「ひょうたん島」

悲しみはまだまだ深い日々

だけど僕らはくじけない

岩手県大槌町の吉祥寺の高台からは吉里吉里中学が見下ろせる。津波の後、体育館には夥しい遺体が安置されていた。今では「必勝!」の横断幕の下で女生徒らが元気な声を上げバレーボールの練習に汗を流す。家族を失った生徒も多いが、懸命に前を向こうとしているのだ。背後の空き地に設けられた仮設住宅団地では遠野市から来たボランティアグループがお茶の会を開いていた。

まだまだ一面の廃虚が広がる町内に、正午になると防災無線から「ひょっこりひょうたん島」のメロディーが流れる。「苦しいこともあるだろさ、悲しいこともあるだろさ。だけど僕らはくじけない、泣くのはいやだ笑っちゃおう」。東北出身の作家井上ひさしさんが脚本を書いたテレビ人形劇の主題歌が、地元の人々を勇気づけている。

火山噴火で海へ流され漂流する島で、人々が助け合って生きる物語。そのモデルとされる「蓬莱島」が大槌湾に浮かぶ。ひょうたん形で、陸とつないでいた突堤が津波で破壊されたのも劇と同じ。沖に向かい波をチャプチャプかき分けて進むように見える島の、松は津波に洗われながら人々の懸命の手入れで枯れずに残ったが、劇そっくりの赤い灯台は流失した。