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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

支える思い 15(3/3ページ)

2012年8月30日付 中外日報

2月には福島県南相馬市で、69歳の認知症の母親と病気の長男が「孤立死」しているのが見つかった。いずれも凍死で、周辺は避難区域が解除された後も帰還する住民は少なかったという。

災害から年月がたってから深刻化する「孤立死」は阪神・淡路大震災で大きな問題になった。仮設住宅が存続した1999年までの4年9カ月で233人(兵庫県警など調べ)に上った。

さらにその後入居が進んだ災害復興住宅でも毎年数十人が亡くなり、12年間の合計は717人にもなる。やはり高齢者が多数だ。昨年には、神戸市北区で男性(46)が死後2年もたって発見されたケースもあった。

これらを教訓に東日本大震災の被災地ではさまざまな取り組みが行われている。各地の仮設住宅などで行政が被災者自身の雇用対策を兼ね「生活支援員」を委嘱して見守り活動を実施。宮城県沿岸の市町ではサポートセンターを設置している。

民生委員や保健師、社会福祉協議会などの職員、また多くのNPOなど民間団体のボランティアが個別巡回や相談会、お茶の集まりなどいろんな活動を展開している。

そして、そこに吉田さんや数多くの宗教者たちの働きもある。全日本仏教青年会のメンバーが、茶菓やたこ焼きを提供して集いを開いた。浄土真宗本願寺派の自死防止活動をしている僧侶らは2人一組で戸別に傾聴に回り、日蓮宗の女性教師の会がカラオケや茶席を設けて支援した。

多彩な寄り添いの中で、宗教の力が問われている。そこで吉田さんも気掛かりなこと、それはこの社会の根本に関わる問題だ。

(北村敏泰)