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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 1(1/3ページ)

2012年9月6日付 中外日報
今なお身元不明のまま安置されている遺骨には認識番号だけが付けられている(仙台市青葉区の葛岡斎場で)
今なお身元不明のまま安置されている遺骨には認識番号だけが付けられている

超教派で慰霊「心の相談室」

「宗教の力」壮大な実験

今年3月15日の昼すぎ、宮城県石巻市の開成仮設団地で宗教者による移動傾聴喫茶「カフェ・デ・モンク」が開かれていた。中高年の主婦ら30人ほどが集会所に集まり、僧侶や牧師、ボランティアたちがコーヒーや菓子を振る舞い話を聞く。

「今日のケーキは春らしいよ。ほら、イチゴショート」。作務衣姿の同県栗原市、曹洞宗通大寺・金田諦應住職(55)が声を掛けた。「避難所じゃ甘いものなんてなかった。なのにハエが多くて支援のお坊さんが『成仏』って言いながらハエたたき持って回ってた」と住民の話が弾む。

「大変だったよね。これから長生きするためにこれどうぞ」と金田住職が手を握って数珠を渡すと、姉を津波で亡くした60代の女性が黙ってうなずいた。見る見る涙があふれる。傍らで日本基督教団仙台市民教会の川上直哉牧師(38)が静かに聞いている。

被災地の各地で展開される傾聴のための「お茶っこの会」の中でも、地元の人たちによる活発な動きとしてとりわけ注目を集めたこの「カフェ」。仏教、キリスト教、神道から天理教、立正佼成会など新宗教や諸教など多くの宗教者が教派を超えて被災者を支援する「心の相談室」(事務局・仙台)の活動の一環として、昨年5月に金田住職が始めたものだ。

供養・慰霊や傾聴、そして各種の相談から啓発活動、人材育成事業にまで広がる超教派の「心の相談室」の取り組みは、この震災でさまざまに論議されている「心のケア」と「宗教の力」をめぐる画期的で壮大な実験とも言える。