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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 1(2/3ページ)

2012年9月6日付 中外日報

きっかけは膨大な死者への向き合いだった。震災直後の3月中旬、多くの遺体が運び込まれた仙台市青葉区の市営葛岡斎場で仙台仏教会の僧侶が読経ボランティアを開始。同じころに仙台キリスト教連合も慰霊活動や遺族のグリーフケアに向けて動き出した。それぞれ宗教者としての使命感だったが、特定宗教のアプローチに行政が強い難色を示した。

そこで両団体が話し合い、遺族の求めに応じてその宗教者が慰霊の応対をする「宗教相談窓口」を設置、これに以前から各教派でつくっていた県宗教法人連絡協議会がバックアップの手を差し伸べて「心の相談室」が4月初めに誕生する。

決して宗教の押し付けではなく、あくまで遺族のグリーフケアを中心に寄り添い続けることが申し合わされ、1カ月近く連日、いろんな宗教の儀礼によって回向、祈祷などの弔いが続けられた。故人・遺族の宗教に応じて火葬炉前と控室とで計数十分、読経や讃美歌、銅鑼の音が響き、線香や榊が手向けられた。必要に応じて医師やカウンセラーの紹介も行った。

だが市側は4月末までとの期限を付けており、活動を発展的に継続するため、5月に新生「心の相談室」が発足した。対行政の関連もあり各教団からの中立性を保つため、実務代表の「室長」には看取り医療専門家で密接に協力し合ってきた医療法人社団爽秋会理事長の岡部健医師(61)が就任し、事務局も東北大宗教学研究室の鈴木岩弓教授(60)が引き受けた。

活動を続けない選択肢はなかった。室長補佐として実質的に事務局を担う川上牧師は「宗教者の持つ潜在的な力は、なすべき義務を思い起こさせる。檀家や信徒などのネットワークも使えばいろんなことができます。なぜしないのかということです」。神学博士らしい言い方をする。