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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 1(3/3ページ)

2012年9月6日付 中外日報

『設立理念』には「未曾有の大量死に直面した時、宗教者の責務である弔いは教派を超えて広く取り組むべき大きな課題。遺族には悲嘆ケア、さらに生活再編に至る包括的支援が必要」とうたわれた。

相談室による一連の「心のケア」の具体的な活動は多彩だ。まず斎場に安置されている身元不明遺骨への月1回の合同慰霊。広々とした部屋に白布を掛けた多くの遺骨箱が衣服などの遺品と共にずらりと並ぶのを前に、僧侶や神職、神父らが祈りを捧げた。一周忌を過ぎても毎月11日の月命日に各教派交代で続けられている。死者への向き合いは、どの宗教者にとっても原点だ。

遺族や被災者らに直接悩みを聴く「電話相談」は、毎週水、日曜の2回、相談室のメンバーが交代でフリーダイヤルコールを受けた。「宗教者が対応する」ことを明示している。当初の件数は多くはなかったが、話を聞く側が苦しくなるような相談が寄せられた。そして、「こちらから出掛けて話を聞こう」と始まったのが「カフェ・デ・モンク」だった。

空前の災厄を前にして、信仰の違いを超えて宗教者の協力・協働が求められ、同時にそれぞれの力量が試されていた。

「全てのケア活動の根底には、愛する人を一瞬にして失ったり自ら死に直面した人たちに対して救いの光を示すことができるのは、あの世のメッセンジャーとしての宗教者以外にはないという確信があります」。もともと、地域における宗教と人々の生活との民俗学的研究が専門だった鈴木教授はそう指摘する。

相談室の活動はさらに広がる。

(北村敏泰)