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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 2(2/3ページ)

2012年9月8日付 中外日報

続いて「ケアの進め方」などが詳しく述べられ、「安易に相手を理解しているかのような発言は避ける」といった注意に加えて、「物事を肯定的に捉える『ポジティブ・シンキング』も、特定価値観の押し付けの面を持っている」「相手がアドバイスを求めるかのような発言をしても、必ずしもそれを求めているとは限らず、そういう思いを聴いてもらいたいだけの場合もある。そうした心理を理解する必要がある」と繊細な記述が続く。

言うなればこの震災で再び大きな注目を集めた「心のケア」の強固なシステム化、組織化。そしてここでの最大の特徴は、それが「心」という分野の専門家である宗教者たちによって行われ、かつその「根拠」となる信仰がそれぞれに異なる中で共同で実施されている、つまり超教派の取り組みでありながらも宗教色のない「非宗教」では決してないという点だ。

実務代表の室長である岡部健医師(62)は、「これだけの大災害の前では、もう宗教しかなく、その『救い』が欲しい。特定の一宗教ではなく民俗的信仰も含めた人間にとっての宗教性が、スピリチュアルケアに求められています」と言う。

看取り医療専門家でもある岡部医師は、長く末期患者の在宅ホスピス推進に関わってきた。そういった立場から「もともとその現場で、医療者だけでなく宗教者の関与が要請されていたのです」と強い口調で指摘する。

以前からあった「いのち」をめぐる医療と宗教、科学と宗教の問題がここに形を変えて浮上している。その大きなテーマは、後に述べる超教派の「臨床宗教師」構想につながる。相談室事務局の置かれた東北大宗教学研究室が中心になって、特定宗教によらず「生と死の現場」でケアを行うチャプレンのような専門家を大学で養成するという、かつてない試みだ。