ニュース画像
田島の風外窟を訪れ、風外慧薫の生涯を学ぶ曹洞宗禅文化の会会員ら
主な連載 過去の連載
エンディングへの備え
時代を生きる 宗教を語る
購読のお申し込み
新規購読キャンペーン
紙面保存版
トップ> いのち寄り添うリスト> 心のケア・宗教の力 2
いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 2(3/3ページ)

2012年9月8日付 中外日報

この相談室に一貫する「超教派」のスタンスについて室長補佐の川上直哉牧師(38)はこう言う。「いわば実験中なので、内部でも互いに細心の注意を払い、供養や儀式の際は動きが極めて慎重になります」。室発足に当たっては、キリスト教界内部でも疑問や忠告の声があったと明かす。

だが、「役所向けなど対外的にも多大なメリットがある。万教同根、全ての宗教の根が共通とは私は思いませんが、互いに教わることは多く、いいところは学び合っています」。

川上牧師自身は自らの信仰を大事にし絶対だと考えるが、異なる宗教の人でも「その人の言う事としている事が一致していたら信頼できます」と言い、その信仰には干渉しない。聖パウロの「すべて他の人を自分より優れていると思いなさい」との言葉を引く川上牧師にとっては、超教派活動の支えも自身のキリスト教信仰に発している。

「宗教協力」「宗教間対話」。この重要性は震災前も後にも叫ばれ、教団トップらによる交流も各方面で相次ぐ。

だが心の相談室による移動傾聴喫茶「カフェ・デ・モンク」で作務衣や牧師服の宗教者らが共に被災者と膝を交える姿には、一過性のイベントではない大きな現実的可能性が見える。そこに「現場」があるからだ。そしてその原点に宗教者ならではの、しかも教派を超える共通の行いである「祈り」があった。

東日本大震災では、発生直後から各地に「祈り」の輪が広がった。そして、心の相談室稼働の一つのプロローグとなったのも、四十九日の悲嘆の現場での祈りだった。

(北村敏泰)