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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 4(2/3ページ)

2012年9月15日付 中外日報

僧侶として人々のいろんな悩み、苦しみを受け止め、支えよう。そう考えたのが移動傾聴喫茶「カフェ・デ・モンク」だった。「モンク」は僧侶の意味だが、「カフェで文句」と掛けてある。

ケーキや菓子、コーヒーに紅茶などを無料で振る舞い、じっくり話を伺う。テーブルやパラソル、瓦礫の板に「Cafe de Monk」と手書きしたしゃれた看板を車に積んで回り、テーマBGMはS・モンクのジャズピアノ曲という凝りようは、宗門内でさまざまな企画を実施してきた金田住職ならでは。ケーキも知人のパティシエに頼んで数種類用意し、配給食ばかりの被災者に選ぶ楽しみを味わってもらう。

宗教者数人ずつのグループで南三陸、石巻、登米から福島県内にも回り、反応は上々だった。主婦らの歓声が上がり、食べながら「和尚さん、大変な目に遭ったのよ」と話が出てくる。相談事によっては、医療や法律などの専門家につなぐこともある。2号店、3号店と他宗派も含めて「カフェの輪」が広がった。

金田住職はカフェの席で、「和尚さん、ちょっと」と呼び出されることもよくある。南三陸の仮設住宅の集会所で声を掛けた老女に付いて自宅へ行くと、津波で亡くなった息子(44)の遺影を前に「お経を上げてほしい」と懇願された。

流されずに残った仏壇に、その父に宛てた孫娘の手紙がある。「3月11日にお父さんにお帰りって言ったのが、うちらの最後の会話でした。最後にありがとうって言いたかった。お父さん、今どこにいますか? 家に帰ってきているなら、何か合図出してね」。住職は込み上げるものを抑えるように唇をかんだ。