ニュース画像
敬白文を読み上げ決意を示す菅管長
主な連載 過去の連載
エンディングへの備え
時代を生きる 宗教を語る
購読のお申し込み
新規購読キャンペーン
紙面保存版
トップ> いのち寄り添うリスト> 心のケア・宗教の力 4
いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 4(3/3ページ)

2012年9月15日付 中外日報

石巻で初老の男性が孫の幼い女児を連れて「ケーキもらえますか」と顔を出した。その子の母親は娘が1歳になる2日前に車ごと波にのまれた。誕生日のプレゼントが、後部座席にたくさん積んであったという。そう話す男性は「この孫の顔がだんだん母親に似てくるのです。それを見ているのもつらくて」と打ち明けた。

そんな人々の苦悩に、仏教者として金田住職は応答する。老夫婦と娘の3人家族は津波から辛うじて逃れた。だが人工透析を受けていた夫は病院が被災して治療ができず衰弱。ヘリコプターで遠方の病院まで運ばれたが手遅れで亡くなった。

訃報が届く直前、1羽のウグイスが家の窓辺に止まってしきりに鳴いたという。「あれはじいちゃんが最後の別れを言いに来たんじゃろうか」と問う娘に、住職は「その通りだよ。じいちゃんだ。命は皆、つながっているんだから、今度はトンボになって来るかもしれん。だから寂しがらんとね」と答えた。

仏教の「教義」ではどうか、それを超えて相手の心を支えようとする。

カフェは「文句」を吐き出すだけではなく、被災者同士の交流にもつながった。「3、4軒隣だと顔も知らなかったのが、ここでお話ができて良かった」。仮設住宅で互いに孤立しがちな住民が安堵の声を上げた。あまり顔を見せない男性たちのために、「赤ちょうちん・デ・モンク」も度々開いた。

そして、とりわけ子供たちには希望をと思う。母親を亡くした男児の名前が「未来」と聞き、阪神・淡路大震災の被災地から来ていたパティシエが作ったケーキに「みらい」と名付けた。

月に4、5回のペースで開く「カフェ・デ・モンク」は、今年3月で50回を超えた。中でも開催の多い石巻は、震災から1年以上がたっても復興とは程遠い状況が広がっている。

(北村敏泰)