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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 5(2/3ページ)

2012年9月20日付 中外日報

3月の移動傾聴喫茶「カフェ・デ・モンク」は51回目。ここで開かれるのは昨年末の「年越し蕎麦の会」以来だった。

入り口にスロープのついた15畳ほどの集会室2カ所に、同県栗原市の曹洞宗通大寺・金田諦應住職(55)らが、車からコーヒーセットや何種類ものケーキを運び込む。若い僧侶やボランティアら十数人が手際よくテーブルや座布団を並べると、30~80代の主婦ら女性たちを中心に40人近くが集まり、すぐ満員になった。

「どこで被災したの?」「そう。雄勝はひどかったものね」。金田住職らの言葉に早速話が弾み、BGMのピアノ曲を誰も聴いていないほどだ。例えば「うちは4人亡くなって」に「人の生死の境目は分かんないよね」。いかにも当たり障りない応答のようだが、それは入り口にすぎない。

金田住職は「これから長生きしてね」とまじないをしてから数珠を手渡し、お年寄りには肩をもんだり膝を擦ったりもする。そこで「津波で位牌がこんなになって。見るのが苦しくて」と戒名の部分が壊れたものを老女が出すと、「新しいのを作って差し上げます」。見本を見せ、「こっちの方が高いよ」と冗談で和ませ、「菩提寺にはちゃんと相談してください」と気配りも欠かさない。

「公共の場」でこんな「宗教」の話ができるのも、顔なじみで信頼があるからだ。線香や香炉、小さな地蔵もあり「手から手へ渡すのが大事。宗教の"コンビニ"ですよ」とほほ笑む。他の多くの傾聴の取り組みでもそうだが、仮設住宅での宗教者の活動には、行政との関係を含めて微妙な課題がある。「布教」したり、特定宗教の品物を配布したりするのは制約が大きい。

「亡くなった方が極楽往生している、と仏の教えを説いてもいけないのか」と困惑する僧侶もいる。そこで「超宗派」の活動が試みられ、「心の相談室」もそれだが、金田住職は「いのちや自然への畏怖が宗教の原点。個々の教派の教義や垣根などは、この現場では無意味で、救いを必要とする人々に宗教者が生身でぶつかるしかないのです」と強調する。数珠は「お守りのブレスレットに」と言って贈る。