ニュース画像
倒壊した浄土真宗本願寺派法城寺の鐘突き堂(むかわ町)
主な連載 過去の連載 エンディングへの備え
時代を生きる 宗教を語る
購読のお申し込み
新規購読キャンペーン
紙面保存版
トップ> いのち寄り添うリスト> 心のケア・宗教の力 5
いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 5(3/3ページ)

2012年9月20日付 中外日報

被災者がうつむいたり深刻な話になると、聞く宗教者たちは座布団を前へ引いて額を突き合わせ、手を握る。「カキ養殖が全滅して夫も重傷で入院した。もう生活できない」「家が流され、死んだ人を思い出して、夜中に自分のうめき声で目が覚める」と訴える女性(72)は、今も恐怖感でラジオが手放せない。

もう一人、睡眠薬に依存する女性(70)は自宅を失い、病弱だった家族が年末に衰弱死した。だが皆がこの集まりを頼りにし、仮設住民同士のつながりができるのを喜ぶ。「お坊さんは葬式とかだけで話もしにくかったけど、こんなにざっくばらんだなんて」との声も聞かれた。

しかし、金田住職は「寂しくない、と思っているのと反対の事を多くの方が言う。その裏を読まねばなりません」と言う。家族や家を失った悩みは宗教者にはどうしようもない事も多い。「でも、皆さんに『何とか生きていかねば』という気を起こしてもらうこと。失ったものを自分の人生の中にきちんと位置付け自分の価値観で前を向けるよう一緒に考えること。それが坊さんとしての大きな仕事です」

そのためには「自分をできるだけ『透明』にすること」と語る。「モンク」とは本来は、「ミニスター」などに比べ、司祭や町の坊さんよりも、人里離れた場で修行する宗教者のイメージの言葉。その深い意味が表出しているようだ。

「カフェに携わる若い宗教者には、大いに悩むように言っています」と金田住職が言うように、傾聴する側の姿勢も問われている。

(北村敏泰)