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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 6(2/3ページ)

2012年9月25日付 中外日報

林牧師は「お友達になることが第一。次に皆さんの生活のお話を聞くこと。そしてその人を全体的に理解することですが、時間はかかります。そのうちに何かの問題を自然に話してくだされば、一緒に考えましょう、となれます」と言う。そして、「本当にお友達になれるという関係は大変宗教性が深いです。キリスト教は愛の宗教ですから」と付け加えた。

「心のケアとは、と議論する前にまず相手に寄り添うべきです。それぞれの宗教者のやり方で」。金田住職がそう言う通りだ。住職自身は、傾聴をしていて「和尚さん、ひとつ法話をして」と請われることがあるという。「宗教的立場からの一言が求められる。だから現場の雰囲気、求められるものを毛穴から敏感に感じ取る努力が不可欠です」

だが、なぜこんな災害が起き家族が亡くなったかという被災者の苦悩に、「大きな宇宙の真実だから」とは言えない。「しかし、そういう根本的なことを宗教者は背景に心得ていなければ。簡単な言葉で慰めるなんてできない。そこにいるだけでもいいが、感じる心が般若の智慧、それを行動に移すのが慈悲の行い、それこそが宗教の目指すものだと思う」

相手とつながっているという感覚。「自他不二」。金田住職は、それは「修飾された教義ではなくストレートな教え」だと感じている。だがこの1年以上、「充実感はない」という。寄り添いには限界もあり、行けば行くほど苦しみや悲しみがある。「まだまだやり足りない」

震災前から、自死防止の相談活動を全国の仲間の僧侶と続けていた。そこで見えた、人を死に追い込む「生き難い社会」は、だが、震災後も変わっていないと感じる。被災地の身近な所でも既に4人の自死があった。

「そもそも宗教者として何を発信できるか。やはり命の重さ、つながりだと思いますが頭の整理はなかなかつきません」と打ち明けた。心に残るのは「和尚さんだぢ、また来てけんでがっぺ。おら寂しいっちゃ」。そんな人々の言葉だ。