● いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から
心のケア・宗教の力 7(1/3ページ)
2012年9月27日付 中外日報
「仙台七夕祭り」で、短冊には子供たちの復興への願いがあふれた(8月、仙台市役所で)

悲嘆をひたすら吐き出す
被災者に休みなく伴走
南三陸の海岸で人々に寄り添うことを誓い合った曹洞宗通大寺・金田諦應住職(55)を、日本基督教団仙台市民教会の川上直哉牧師(38)は「先生」「老師」と呼ぶ。「宗教者としてすごい思い切りを持ち、その権威とうまく向き合われる。場の状況を読み、空気を創り出す力があり、人々の救済でも大きな事を成し遂げることができます」
その金田住職は神学者である川上牧師を「理想に燃える若き宗教者」と評する。震災前に死生学の研究会で論文発表を聞き「理屈っぽいな」とも思ったが、共に支援活動をしてその行動力に感心した。
ただ「理念・理想に向かって後先考えずに突っ込むところがある。やんちゃというか」と少し笑い、「教団組織も世の中もそんなにうまく動くもんじゃないよ、したたかにやらないと、と老婆心ながら助言します」。
金田住職は今の自坊に生まれて13歳で得度し、本山の修行を経て晋山してからは、宗門役職員としても数々の新しい取り組みをしてきた。川上牧師は「老師は『権威』が集合して暴走しがちな中でもそれをいなし、時にはユーモアに包み、必要な時には解き放って活用する。それに長けておられます」と尊敬する。実際、現実的な壁にぶつかると助言を求める。