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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 7(2/3ページ)

2012年9月27日付 中外日報

互いに、それぞれの信仰について語り合ったことはない。「言葉は互いを引き離す危険性がありますから」と金田住職は言う。「理論家」と評される川上牧師は宗教者としての支援活動について「社会には宗教はハレ・非日常の時しか必要ない、『宗教に頼るなんてよほど困っているんだな』という観念が根強く、火葬場でさえ避けられることもある」。

しかし、「弔いでも相談でも、誰からも求められなくてもじっと待ち続ける、いざというときのために備えることができるかどうかです。それができるのが宗教者です」と言う。「『神はどこへ行った』などと言うのは震災から遠い人。現場ではそんな思いを持つことはありません」

震災当日、朝から体調が優れず仙台市内の自宅で休んでいた川上牧師は、激しい揺れに幼稚園児の長女と手を取り合った。車のラジオやツイッターで続々情報が入り、教会が救援に動きだす。

まず、全国の信者を通じて次々寄せられる支援物資をさばく作業。1週間後にはカトリックなども含めた仙台キリスト教連合に「被災支援ネットワーク(東北ヘルプ)」が設けられて事務局長に就き、避難所支援や炊き出し、教育援助など広範な活動が続いた。

そんな時、被害が甚大な荒浜地区を訪れた。家族でしょっちゅうドライブに行っていた美しい海岸と田園の街並みが完全に消え、激しい衝撃を受けた。「死」が人々の生活を覆い尽くす。そこから斎場での犠牲者の慰霊、そして仏教者らとも協力した「心の相談室」へと一気に駆け抜けた。

被災者に休みなく伴走する日々。そのスタートに当たって川上牧師は相談室のサイトに書き込んだ。「課題が転がって私の足元に。踏みとどまるのです。とにかく踏みとどまる。……そしてみんな『一歩』を踏み出した。そこに希望が……そう信じて、できることをやっていきます」