ニュース画像
御影堂前階段で記念撮影を待つ小僧さんたち。2時間余りの儀式を終えてほっと一息
主な連載 過去の連載 エンディングへの備え
苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
購読のお申し込み
新規購読キャンペーン
紙面保存版
トップ> いのち寄り添うリスト> 心のケア・宗教の力 9
いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 9(1/3ページ)

2012年10月4日付 中外日報
宮城県宗教法人連絡協議会の研修会では、「心の相談室」の報告にさまざまな教派の宗教者らが耳を傾けた(昨年10月、仙台市で)
「心の相談室」の報告にさまざまな教派の宗教者らが耳を傾けた

何もしないが逃げない

苦しむ人と一緒に悩む

「心の相談室」の最大の特徴は超教派ということだ。それは市営斎場での弔いという発足当初の事情もあるが、事務局の川上直哉牧師(38)は「どの宗教も震災に向き合う中で他宗教との関わり方が変わった」と語る。

「偏狭な宗教ではなく、どの教派にも共通する宗教性」。儀礼や所作といった共通する形にその心が表れているという。川上牧師自身、他宗教の儀礼に接して「十字を切ることが素晴らしいと、より思うようになりました。共通のものがあるからこそ、異質な他者の宗教を互いに理解し尊敬できるのです」。

昨年10月、相談室の母体でもある宮城県宗教法人連絡協議会の会合が仙台市青葉区の立正佼成会教会で開かれた際、会長の齊藤軍記・天理教多賀城分教会長は「今年ほど各宗教の祈りと慰霊の思いが一つになったことはない」と挨拶した。

釈迦如来を祭った本堂には、衣に袈裟、司祭服、新宗教の法衣など多彩な姿の100人以上の参加者が集い、ロマンカラーのシャツにスーツの川上牧師の進行で合同の祈りが行われた。

もともとは宗教法人税制研修のための団体で、寺社教会など2千以上の単位法人が加盟する。「ただの茶飲み会でしたが、意義があった。相談室をつくったことで超教派による公共性が行政にも一般の方々にも認知されましたから」と川上牧師。

行動によって狭い教派の枠が変化し、対社会の姿勢も変わったことに未来を見る。少子高齢化と核家族化、多死社会の中で、例えば伝統仏教の檀家制度が崩壊の一途にあることに代表されるように、これまでの宗教教団の在り方は根本から問い直されている。