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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 10(3/3ページ)

2012年10月6日付 中外日報

同じような言葉をその後も各地で耳にすることになり、悲嘆からの「後追い自殺」もあった。神さんは「なぜ自分だけ生き残ったのかという叫びは、『問い』ではない。心のつぶやきをそのまま受け入れるのです」。

生き残ったいのちをこれ以上一つも失うことのないように。そのような願いが神さんが宗教者としての存在を懸けて「心のケア」に携わる原点となった。

被災者の悲しみ、苦しみに向き合う「心のケア」は、各教派単位やさまざまな宗教者の団体によって、早い段階から避難所などで幅広く取り組まれた。

最も多い形が、お茶や菓子を出して話の場とする「呈茶」(臨済宗妙心寺派)や「行茶」(曹洞宗)。日蓮宗の団体は「ロータスカフェ」などで傾聴をした。

高野山真言宗や真宗大谷派が行う「足湯」は、足を温め、さすって被災者がリラックスし、心を開きやすくするもの。参加した僧侶は「足をさすっていると、相手の心が自分の心に映る。自分の心の鏡を磨くために続けている」と語った。

カトリック、プロテスタントの各キリスト教団体も、「お茶っこはうすオアシス」「支援センターとなりびと」などの拠点を開設して傾聴活動を展開。ルーテル学院大は、被災者が自身で行えるグリーフケアの方法を記した「セルフケアカード」を配布した。

世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会も、震災4カ月後に「心のケア」プロジェクトを予算化。向こう5年間を視野に、「心の相談室」への援助や傾聴ボランティア事業などを決めた。

こういった組織的支援に並行して、神さんのように宗教者個人やグループの活動も目覚ましかった。

(北村敏泰)