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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 12(2/3ページ)

2012年10月13日付 中外日報

神さんは以前から葬儀や法事でも同じ考えで取り組んできたという。「葬儀からグリーフケアの機能が失われてしまったことが、『葬式仏教』と社会から批判される原因の一つです」

葬儀でも被災地でも「死んだ人はどこへ行くのか」と度々問われた。すると、「あなたはどう思うの?」と聞き返すことにしている。そこでその人の死生観、来世観が確認される。宗教者はそのための「触媒」だと考えている。が、問われる宗教者が確固たる自分の信仰に基づく答えを持たずに動揺しては、問うた人も不安になる。

神さんは、この震災で自らの信仰が揺らぐことはなく、「上書きされた」と話す。「人は肉体がなくなっても生きているのだという思いが強くなりました」

遺族が失った最愛の人との関係性を再構築できた時、その心の中に「極楽」も「天国」もあるのだろう。

「心のケア」という言い方は、1995年の阪神・淡路大震災で被災者の精神面を支えることの重要性がクローズアップされる中で知られるようになり、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に対処するために「兵庫県こころのケアセンター」が開設された。東日本大震災を受け、その初代所長の精神科医中井久夫さんのインタビューが昨年6月22日付『読売新聞』(夕刊)に掲載されている。

中井さんは「心のケアは、そううたって何かするものではない。神戸では被災者の心のケアを、1人にしない、体験を分かち合う、生活再建、の3段階で考えました。今回『寄り添う』という言葉を聞くが、その通りです。震災後、100日くらいで被災者の向き合う相手は自然から人間に移り、苦痛の質も変わってきます」と話している。

その神戸でも、今回の震災を機に不安を訴える阪神の被災者が同センターを相次いで訪れていることが、今年1月17日付の『朝日新聞』で報道された。