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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 12(3/3ページ)

2012年10月13日付 中外日報

3月に日本宗教連盟が開いたセミナーでは、がん患者や遺族のケア外来をする埼玉医科大の大西秀樹教授(精神腫瘍科)が、患者の遺族に対して被災者と比べて「東北の人の苦しさよりはましだ」と助言する傾向が見られ、問題だと指摘した。「死別の悲しみに差はなく、比較してはいけない」「心だけを切り取ったケアはない」。そう強調する。

そういうところに宗教はいかに関わるか。高木慶子・上智大グリーフケア研究所長は、「怒り」をぶつける対象を持たない災害被災者は「体の叫び」、悲しみという「心の叫び」に続いて、「こんな無残なことになるなら存在しなければよかった」という「魂の叫び」を挙げ、それは「生と死に関わるスピリチュアルな問い掛け」だと言う。

そこで宗教者に一番にできることは「人間を超えた大いなるものに、心と魂を込めて祈ること」だと語る。「サンガ岩手」の真宗大谷派僧侶、吉田律子さんは現地で支援活動をする中で、僧衣を着ることで歓迎される場面と拒否される場面とがあると言い、「仏教、寺とは何かが突き付けられている」と述べた。

仏教スピリチュアルケアの専門家としてビハーラ僧の経験があり宮城の「心の相談室」理事も務める谷山洋三・臨床スピリチュアルケア協会事務局長は、キリスト教文化圏で病院や福祉施設などに置かれる「チャプレン」のような在り方を提示する。

昨年6月に東京で開かれた宗教者災害支援連絡会で、「災害チャプレン」の役割を「苦悩を抱えながらでも生きていけるよう支えること」と語り、現地での任務として地元の宗教者と連携しての「よろず相談」などや「グリーフケア」の重要性を挙げた。

大谷派僧侶である谷山氏は被災地に赴くに当たり、他宗・教派の祈りや儀礼も学んで「宗教的需要」に備え、キリスト教の祈りをしてほしいとの求めにさえ応じたという。いずれにせよ、「これこそが正統的な心のケア」という特定の形はなさそうだ。

(北村敏泰)