ニュース画像
門信徒大会で基調講演を行う内藤勧学
主な連載 過去の連載 エンディングへの備え
時代を生きる 宗教を語る
購読のお申し込み
新規購読キャンペーン
紙面保存版
トップ> いのち寄り添うリスト> 心のケア・宗教の力 15
いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 15(2/3ページ)

2012年10月20日付 中外日報

カウンセリング経験が未熟な人も参加した。いきなりケアということはあり得ない。被災者と24時間一緒に過ごし、生活を共にしてはじめて心が開かれる。だがやっと話が出てくれば、悲惨な内容がほとんどで、極めてハードな現場だ。「でも、技術よりも心。勉強していないとできないということではありませんが、研修していたという自信が支えになったのです」

浄土宗僧侶で看護師の宮島幸代さん(47)は、「自分に何ができるか分からなかった」が、ただ「苦しんでいる人のそばにいたい」という気持ちで駆け付けた。

被災者は困っているに決まっている、そんなに話が聴けるとも思えない。だが実際に避難所の寺に行き、人々と寝泊まりしてつながりができると、涙ながらに訴えられた。70歳の女性は「自分より速く津波が追いかけてきて、夫が……」と。遺体は見つかっていなかった。一緒に泣いた。

宮島さんは阪神・淡路大震災の際、ボランティアで看護に行った。浄山カウンセリング研究会には4年前から参加し、ビハーラ活動の研修も受けている。「生きるということを考えるため。お坊さんになったのも、そのためです」と言う。「研修して、もし何かあったらできるように、という心構えが一番大きい。訓練したからできるのではなく、やはり自己研鑚が必要だと思います」

畦部長は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)やグリーフ(悲嘆)は時間が経過したものなので対処にスキル・専門技術が必要だが、被災の初期段階では、まだ十分に「悲しみきれていない」人々の傍らにとにかく居て、時間を共有することが中心になるという。研修は実際的技術として役立つというより「行こう」という動機づけ、引き金になると強調した。