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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 15(3/3ページ)

2012年10月20日付 中外日報

8年前に研究会を始めたのは、僧侶らの普段の活動に役立てるのが狙いだった。「要は、この人になら話したいという人間関係の構築。葬儀でもそうです」

檀家の話をじっくり聴く。全ての悩みに対応できなくても、これは無理だと見極めができることも大事で、専門家などにつなぐ。「お寺に行けば、という安心感を醸成することが重要。結果として被災地で役立ったように、これから各寺で、仏教全体の将来の中で役立てば」。畦部長はそう力を込めた。

宗教者らによる被災者の「心のケア」、その担い手や日常からケア活動をする人を対象とする各種の研修は継続的に広がり、震災1年半の今年9月のアンケートでも、主立った教団が機関を設けるなど宗門活動の中で重点的に位置付けていることが明らかになった。

臨済宗妙心寺派は傾聴ボランティア養成講座修了者を「妙心寺派傾聴士」としている。浄土宗東京教区教宣師会は今年5月に自死遺族ケアなどの講習会を開き、グループで模擬練習を実施。「心を込めて傾聴するために、事前にロールプレーをするのとしないのとでは大きく違う」との助言があった。

高野山真言宗は、スピリチュアルケアを軸にしたカウンセリング研修会や心の相談員養成講座を開いており、受講期間中に被災地に赴いた僧侶もいた。

天台仏教青年中央研修会では、被災地で活動する赤十字病院の看護師が講演した。その『災害時の心のケア』という日本赤十字社の冊子には、被災者ケアの極めて詳細な留意事項に加え、「援助者のストレス」の章にこんな注意喚起がある。

「自分が万能になった気分で責任を他人に譲ることができなくなる『私にしかできない』状態」「極度の緊張下で能力をすべて使い果たした末の『バーンアウト(燃え尽き)症候群』」

(北村敏泰)