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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 16(3/3ページ)

2012年10月25日付 中外日報

津波の夢を見て怖がる女子生徒もいる。小学校では、昨年5月ごろは空間構成がめちゃくちゃで精神的衝撃を示す絵を描く児童が多かったが、数カ月すると津波の悪夢を言葉で語りトラウマを「形」にできるようになってきた子供もいる。

東北3県で1500人を超えるという「震災遺児」の場合は、心の支えである親を失っただけにさらに深刻で、政府は今年初めからそのグリーフケアに取り組んでいる。

生活困窮も問題で、学用品や服も買えない実態があしなが育英会の昨年12月の報告で明らかになった。報道では、女子高生の「友達は両親を亡くした。母を亡くしただけの自分はまだ恵まれている。頑張らないと」といった悲痛な声があるといい、同会は、大人たちや社会全体による見守りを呼び掛けている。

名取市のまいちゃんは自分の物語を「箱庭」に制作した。紙粘土なども使って壊滅した街を再現し、水没して全壊した家並み、ひっくり返った車、そして学校の屋上には耳をふさぎ目を覆う姿の子供の像を載せた。

ユング派心理学で導入されるこの「箱庭療法」を、桑山医師は医院の臨床で使う。大人向けも含め、記憶の語りを引き出すには「オプションがたくさん必要」だからだ。イベントもそれで、既製の材料を用いる箱庭の他に手作りで風景を再現する「ジオラマ」もある。

桑山医師は市教委の依頼で、6月から各小中学校を仲間の心理カウンセラーらと手分けして回り、ボランティアでジオラマ作りを指導した。住み慣れた街の風景を一緒に制作することで、「ここにパン屋さんがあったね」と具体的に語り合うことができる。

震災から1年が過ぎた今年3月、復興した同市のショッピングセンターで閖上周辺の子供たちの作ったジオラマが展示された。それは衝撃的なものだった。

(北村敏泰)