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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 17(2/3ページ)

2012年10月27日付 中外日報

「仮設住宅に歌を歌う人が来たよ」「日和山に行ったけど、人が多すぎて下に落ちちゃった」。「そんなに?」「うん、3万人!」。ひょうきんな男の子の冗談に歓声が上がり、桑山医師も「それぞれの3・11だったねえ」とほほ笑む。この1年にしっかりと向き合えているかを見る試みだ。

続いてテキストに従って現在の心境などの質問。「心に重荷を感じることがありますか?」「先生、オモニって何?」「気分が重いことだよ」「私なんか前からそうだよーっ!」。にぎやかな会話にも気持ちが吐き出される。この中にも親や家族を亡くした子が何人もいる。

そして「『人生ゲーム』楽しかった。またやりたい」と。それは消滅してしまった閖上の街を舞台に、「閖上郵便局で年賀状配達のアルバイトをして1万ドルもらう」「浜やの味噌ラーメンを食べて2千ドル払う」といったオリジナルの内容。「過去の自分がここで生きてきた証しを再確認するためです」。子供たちにとってもアイデンティティーは重要だ。

ジオラマ作りでも同様に指導した。ショッピングセンターには、大勢の児童らが共同制作した被災前の閖上の作品も展示されている。学校や商店、交番や病院など紙粘土で作った街のミニチュアに、大人たちも顔を近づけて見入っていた。

これらの取り組みを通じ、「悲惨な体験に子供たちが向き合えるようになり、言葉にできるようになりました。仲間と一緒にやったのが良かったのです」と医師は言う。

震災後間もなく、両親を亡くした女児と自宅跡に遺品を捜しに行った。廃虚にシクラメンが咲いていて女児が少しだけほほ笑みを見せた。「99%が地獄でも、1%希望があれば、それを皆で集めて生きていくのです」