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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 20(2/3ページ)

2012年11月3日付 中外日報

森脇さんは高野山大で学んで得度した後、東京や長野で職に就き、縁があってこの寺へ跡取りの養女として入った。自身がかつてアルコール依存症の夫からのDV(ドメスティックバイオレンス)被害者で、依存症問題や男女共同参画の活動に取り組んできた。

そんな経験から支援活動でも女性の立場に視線が行く。シングルマザーや独居の女性が被災で水産業のパートを解雇されても男性ほどは問題にされない。瓦礫撤去をする男性は報酬で支援されても、避難所での主婦らの食事作りは「仕事」とは見なされない。避難所や仮設住宅でもDVはあるが恥ずかしくて言えない。

こういった個別の問題を踏まえたケアについて「細くても永くフォローしていく。仏様が私をここに連れてきたのは、聖さんのように、ここで生きる人たちにしっかり向き合えということですから」と言う。

森脇さんの周りには、同じ宗門だけでなく、キリスト教も含めた超教派のさまざまな宗教者たちのネットワークが地元に、全国に広がる。それによって例えばタオルを使った手芸品を女性たちが作る、その材料が各地から寄せられ販売先にもつながった。互いの宗教的アイデンティティーを尊重した上で協力し合う。それも宗教の大きな力だと信じている。

だが震災から1年以上を経て、心のケアをする支援者たちに「疲労」が見えてきた。寺の住職たちには休みがない。自らも倒れて入院した。ケアする人の心のケアが重要だと気付き、これから支援者たちで「自助」の会をつくろうと考えている。

ケア者のケアの問題は支援活動の長期化に伴って深刻になっている。昨秋以降の報道では、全国自治体から東北3県に派遣された消防士のうち800人を抽出した調査で、不眠や絶望、無力感などの「惨事ストレス」を経験した人が9割近くおり、5%はPTSD(心的外傷後ストレス障害)の可能性があった。