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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 21(3/3ページ)

2012年11月8日付 中外日報

そして「ひとさじの会」活動で関わる貧困の現場と被災地とには、経済的困窮と人間関係の困窮とが共通することが実感された。家を失って「ハウスレス」の人が、助けを求めるつてさえなくなり「ホームレス」になる。それには、物質的援助と人間関係を築くことによる支えとの両方が大切だ。

吉水副住職ら同会の僧侶たちは、宮城でさまざまなネットワークに支えられ協働しながら、炊き出しとともに被災者に「身近な友達」と感じてもらえるような寄り添いを心掛けた。福島では、放射能の恐怖に閉じこもる住民が安心して触れ合えるような炊き出しの場をつくった。

いずれの現場でも真摯に苦難に向き合う視線とスタンス。信仰に支えられたそれがあることこそ、日頃からいろんな問題に取り組む宗教者が震災でも即座に被災地に駆け付けることができた理由だろう。

吉水副住職は宗教への人々の直接的な期待を感じることも多かった。避難所で食事を配給する合間、「父はまだ見つかっていないが、それでも葬式できるのだろうか」「死んだ家族のことばかりが頭にあって、前を向けと言われても向けない。そんなことでは死んだ者も浮かばれないのだろうか。まだ悲しんでいいのだろうか」。

突然に吐き出される遺族たちの悲痛な訴えは、頭を丸めて作務衣姿で作業している僧侶としての自分に向けられていることが身に染みた。

(北村敏泰)