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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

いのち寄り添う 24(3/3ページ)

2012年11月15日付 中外日報

岩手のカトリックの神父は「聖書が身に付いておれば、何も心配することはないと自分に言い聞かせることができます」。自死問題に取り組む曹洞宗僧侶は「悩みは仏様に吸い上げてもらう」との言い方をする。

宗教者はこのように、信仰の奥底ともいえる自らの内にエネルギーの源泉を持っている。その宗教の力は、宗教者が生きる「支え」でもあり、これを「アース」と表現する研究者もいる。身を守るため電流を地面に流すアースだ。

だが一方で被災の現地では、この空前の災禍を前にして自身の信仰を見つめ直した宗教者も多い。震災1周年を機に90の寺社教会を対象に実施したアンケートでは、原発事故で自坊を強制退去、避難させられた真言宗の住職が「誰もが信仰を失いかけたと思うが、このような時だからこそ信仰心を強くしなければならないと思った。信仰心とひと言で言い表せない葛藤があった」と答えた。

「信仰が揺らいだり、確固たるものになったりの繰り返し」(キリスト教牧師)、「これまでの経験や理解では及びもつかないような状況で、改めて信仰について不断に問われざるを得なかった」(真宗僧侶)。

では、このような宗教者ではない一般の人々に宗教はどのように受け取られているか。日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団(柏木哲夫理事長)が全国の成人男女計千人を対象にした意識調査では、「死に直面したとき、宗教は心の支えになるか」という問いの答えが、震災を挟んで大きく変化していた。

(北村敏泰)