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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 26(2/3ページ)

2012年11月20日付 中外日報

両方ともグリーフケアという広い概念の例で、深い魂レベルの苦痛へのケアであり、目に見えない超越的なものとの関わりを視野に入れているが、相違点は受け手のニーズへのアプローチの仕方。宗教的ケアの相談者は、ケアする宗教者から何らかの「答え」を期待しているが、スピリチュアルケアの場合は両者の世界観や価値観、信仰が異なることが前提で、宗教的「答え」を提示したからといって受け入れられるとは限らない。

谷山さんは「どちらで対応すべきかよく考えることが重要。ただ実際にはつながっており、通常はスピリチュアルケアがベースでまず聴くこと。そこで相手のニーズ、つまり必要としているかどうか、何を必要としているのかが分かったら、そこからが宗教的ケアをするかしないかの判断になります」と語る。

共通点は、「答え」といっても相談者が抱える問題そのものを解決するのではなく、問題を抱えながらも生きていくための支えを確認することにあるという。そこでの宗教者の強みは、死に関する問題に対応しやすいこと。震災で生死の境界線に直面した人は、その大きな「語り難い」体験を語る可能性があり、それを聴く役割は宗教者こそが担うべきだと谷山さんは強調する。

ただ、カウンセリングなどで重視される「語り」も、悲惨な体験をした人は語ることでかえって自身を傷つけてしまう恐れがある。宗教的ケアには、瞑想や読経や祈りといった、本人が「語らない」方法もある、と考える。目指すのは「治療」ではなく、魂を癒やすケアだからだ。

相談室長で臨床宗教師構想を提唱した名取市の岡部健医師(62)は、長く医療と宗教との接点を模索してきた。「死」を挟んで、「生」の世界は医療という生きる手だてがあるが、「死後」つまりあの世には、闇の中で進む道標が何もない。

「それを提供できるのが宗教です」。十数年前から在宅ホスピスの取り組みを進め、患者の自宅などで毎年300人近くを看取ってきたことがその原点にある。