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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 27(2/3ページ)

2012年11月22日付 中外日報

鈴木教授は、被災地で祭りなど伝統的宗教行事・習俗が比較的早く復活し、葬儀と共に人々の心の支えとなっていることに、「宗教のコミュニティー統合機能には目を見張るものがあります」と言う。被災者と接して、肉親を亡くした悲嘆や「幽霊」の話に宗教者たちが向き合っている姿を見、心の相談室の事務局も引き受けた。

講座には学外からスピリチュアルケア専門家の谷山洋三、宗教学者・高橋原の両氏を准教授に招いた。現場で宗教を実際に「活用」する、国立大学では画期的な試み。「欧米では宗教者が大学で専門教育を受ける『チャプレン』制度があり、その日本版になれば」と言い、そこには宗教学が「宗教は社会でどうあるべきか」を発信し実践する場をつくる、という大きな志もある。

臨床宗教師は、被災地や現場に現にある「宗教的支えのニーズ」に応え、傾聴やスピリチュアルケアをベースにしながら、求めに応じて宗教的ケアをする専門の宗教者と定義付けられる。

研修は相談室の活動現場でケアの実際を学習するが、公共的性格を担保するため、倫理委員会の監督を受け、自分以外の他宗教の儀礼や世界観も学び、宗教者以外の諸機関との連携も身に付けることが求められる。「宗教者が公共空間で活動することは、価値観、人生観、死生観についての葛藤に苦悩する人々に救いの手を差し伸べることになります」と鈴木教授。

ただ、大きなチャレンジには課題も多い。宗教的ケアは、例えば礼拝や法要、数珠やロザリオなど、どこまで特定の宗教に基づくことが可能なのか。あるいは、どの特定宗教でもない超教派の宗教・宗教性というものがあるのか。無宗教の人に宗教的ケアをするのは「布教」にならないか。