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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 27(3/3ページ)

2012年11月22日付 中外日報

鈴木教授は、各宗教の教典的信仰と絡み合いながらも地域で経験的信仰として伝統的に培われてきた宗教性に着目する。その上で「まず宗教者があっての宗教性ではなく、自然発生的な宗教性を育んできた人々の持つ、人智を超えたものに対する畏敬といったものがスタートにあると思います」と語る。

現実には、キリスト者が仏教的伝統に生きる人をケアするような場合、例えばキリスト教的死者供養というように、宗教者が自己の信仰を確固たるものとした上で相談者とそれぞれの立ち位置を尊重しつつ微妙に「ずらし」ながら救いの道をつくる。「グラデーションのように幅のある立ち位置で、心の内を共感的に理解」するということ。

教授は「教派を超えたケアは、ある形をとって存在するものではなく、ケア対象の方の機に応じてなすべきものでしょう」と説明する。

10月23日、石巻の現場での研修が始まった。受講者は20~50代の男女計12人で、地元宮城で自らも被災した人や支援のため移住してきた僧侶ら全国から。キリスト教、新宗教、イスラームの男性もおり、韓国人の牧師も。初日には人々の悲嘆に寄り添う意味も込め被害のひどかった地区を雨の中、慰霊行脚した。網代笠に袈裟、ガウン、修験道の山伏姿などそれぞれの法衣でそれぞれの祈りの言葉を唱えた。

相談室の宗教者による講義、谷山さんらを講師とするケアのグループワークや被災者との向き合いを想定したロールプレーなどカリキュラムはみっちり夜まで続く。そして実習として、2日にわたり仮設団地の集会所での傾聴喫茶「カフェ・デ・モンク」に加わった。

「お数珠などのような宗教的資源を介して皆さんから物語を聴き取っていけるのは宗教者だ」。リーダーの金田諦應・通大寺住職のそのような講義を事前に受け、高齢女性や子連れの主婦ら40人余りの参加者に接した。

初日はやや戸惑っていた受講者も、ロールプレーなどでの訓練を経て、住民の声に自然に耳を傾けられるようになった。

(北村敏泰)