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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

心のケア・宗教の力 28(1/3ページ)

2012年11月27日付 中外日報
臨床宗教師養成の研修に参加した宗教者たちは、行脚の途中に各地で祈りを捧げた(宮城県石巻市内で。実践宗教学寄附講座サイトより)
宮城県石巻市内で。実践宗教学寄附講座サイトより

「怖がらなくても大丈夫」

希望を語る臨床宗教師

東北大の「臨床宗教師」養成の講座に参加した宗教者たちからは、「教義にとらわれていて目の前の遺族の希望、救いを聴けていなかった自分に気付いた」(浄土真宗男性)、「相手と信仰が異なっていても、己の信仰をしっかりと持ち、それに裏打ちされた優しさをもって広く人々に寄り添うことだと強く感じた」(曹洞宗男性)といった感想が聞かれた。

そして研修期間中毎日、朝と夜に「日常儀礼」として受講者が1人ずつ交代で所属する宗教の祈りや儀礼を行い、他の者が可能な限り参加して宗教間の「対話」の試みとした。日替わりで念仏や読経、聖書の祈りが流れ、異なる宗教に接したが、その場に参列はしても読経には加わらないという場面も。

一方で「他の受講者の教えに基づいた心豊かな人柄に触れ、改めて『教え』の素晴らしさと凄さを実感した」との声もあった。それぞれが自己の宗教的アイデンティティーの深奥に錘を下し新たな体験の意義をかみしめているかのようだった。

この臨床宗教師を提唱してきた岡部健医師(62)は当初、終末期の患者へのケアについて受講者に語る予定だった。だが、研修参画は一度もかなわなかった。がんで容体が悪化し、亡くなったのだ。9月27日夕刻のことだった。

長く在宅ホスピスの現場に取り組んできた姿勢そのままに、家族に囲まれた自宅で安らかに息を引き取った。病床でも、看取りの現場で宗教者が悲嘆に寄り添うことの意義を、言葉少なながら説いていたという。