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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

つながり、そして明日へ 4(2/3ページ)

2012年12月6日付 中外日報

校庭で作業する隊員の高橋伸実さん(34)には、以前にも別の救援現場で出会った。内陸部の大崎市で「ひのきしん」という名のボランティア団体を主宰しており、災救隊以外でも各地で活動を続けている。発生直後に1日かけて石巻に駆け付けると全壊した建物に船が突っ込み、街が消滅していた。

何とか生き残った人々は1個のおにぎりを5人で分け、割り箸を家族で何日も使い回していた。雪の中、足にゴミ袋を靴代わりに巻き付けて給水の長い列に並ぶ人たちには、家族を亡くした子供も交じっていた。「助けて下さい! 助けて」。被災者の悲鳴をそのまま発信した高橋さんのメールは、各地の友人知人を通じて全国に広がっていった。

次の日、自教会宛てに救援物資が段ボール箱で届いたが、宅配便の配送センターから「ガソリンがないので届けられません。受け取りに来てください」と電話。翌日には10箱、翌々日には30箱になった。知らせてきた配送センター長の「あなたは何をしている人ですか」との問いに、高橋さんが事情を説明すると「分かりました、何とか直送します」と返事が返ってきた。涙声だった。段ボールには「頑張って下さい」とのメッセージが書かれていた。

高橋さんはこれらの物資に祭壇前で頭を下げてから配達する。「ただのモノじゃない。人の縁に支えられた、神様の匂いのついた物資です」。その後も例えば、冬には「心と体ほかほか大作戦」として全国から励ましの言葉を付箋で書き入れたカイロを送ってもらい、仮設住宅に配る。

一人暮らしの高齢の女性は、テレビの下にその付箋を何枚も貼って涙を流した。教団内から一般へも広がり、熊本や香川の小学校で全児童がメッセージ入りカイロを寄せてくれた。「つながりこそが大事です。僕らはその種を蒔くのです」。そして高橋さんは、土木作業などで周りの人から普通のボランティアと見られても一向に構わないと思う。「僕の心の中はひのきしんですから」