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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

つながり、そして明日へ 8(3/3ページ)

2012年12月15日付 中外日報

寺が集いの場、つながりの要になっていることについて「来た方々が私たちの働き、後ろ姿を見て、ここはお寺、親鸞さんの場だったんだと気付いてくださればいいのです」と言った。職員や門徒たちは本堂での「お朝事」で30分ほど正信偈を上げる。向かい合うボランティアセンターから参加する姿も見られる。

震災後、結び付きや「絆」が盛んに語られた。「無縁社会」といわれた中で孤立する人々に、人間同士の縁の意義を再認識させることにもなった。だが、それを生んだ格差社会は消滅するどころか熾烈さを増し、被災地にもそれが覆いかぶさる。

「絆」は商業的キャッチコピーとして流布し、インターネット上の仮想の関係までもが「絆」とされた。しかし、その連呼に違和感を訴える声を被災地でも何度も聞いた。「絆は共に生きるうちに気が付いたらできているもので、頑張って強めたり深めたりするものではない」

現地で復興事業を被災者と共同で進める北九州の奥田知志・東八幡キリスト教会牧師は「『きずな』は『きず』も含む。意見が対立し、余計なお世話と言われる、そのように互いに傷つくことを受け入れてこそ真のつながりが生まれる」と、安易な依存、表面的な関係に流れることにくぎを刺す。宗教者はどうあるべきか。

仙台別院のボランティアセンターは今後も、茶会などによる仮設住民の心のケアを中心に、同じ所へ繰り返し支援に入る活動を継続する。

「また来ます、と口先だけではなく内実を伴って支えなければ」と中岡輪番は強調した。「それができるのが大きな教団の利点だし、これまでに各方面にパイプもできましたから」。他宗派とも手を携えてこれから東北をもっと活性化したい、そう願って真宗大谷派などとの交流も始めた。

行動を伴ったつながりこそが、本当の絆だ。それが明日の復興に礎になる。

(北村敏泰)