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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

つながり、そして明日へ 10(1/3ページ)

2012年12月20日付 中外日報
震災から1年半がたっても全く手付かずで、倒壊した住宅も当時のままの市街地(今年9月、福島県南相馬市で)
倒壊した住宅も当時のままの市街地

この苦難は先が見えない

除染も不安の除去も

9月に入り、飯舘村の除染作業は村内各地で進む。県道沿いの田畑では広大な面積に重機が入り、表土を剥ぎ取っていた。「除染作業中」と注意を呼び掛ける黄色いのぼりのそばに、集めた土を黒い大きな樹脂製の袋に詰めたものが大量に積み上げられ、掛けられたブルーシートの上からでも毎時4・8マイクロシーベルトの線量を検出した。

同村は村民の帰還を目指し、この7月に「避難指示解除準備区域」「居住制限区域」と「帰還困難区域」に再編された。「ややこしい」「かえってばらばらになる」との声も聞く。前年に訪れ、今回「帰還困難区域」に唯一指定された長泥地区を目指す。山中の道は以前以上に荒れ、途中に廃屋も多い。路肩のコンクリート壁に「くたばれ東電!」との白ペンキの文字が見えた。坂を上った、地区のかなり手前の所でバリケードに遮られた。

コンクリート土台の鋼鉄フェンスの扉をぴたりと閉ざし、マスクに重装備の警備員2人が直立で警戒している。「この先帰還困難区域につき通行止め 原子力災害現地対策本部」の看板。集落までは遠く、人の気配も通る車もない山間の静かな風景に、重苦しい現実がのしかかっている。線量は7・34だった。

その夜、宿で見たテレビのローカルニュースでは、長泥の住民が避難先で「毎年なら今ごろは稲が実り、キノコや切り花も収穫すんだぁ。でも、もう戻れんのじゃね」と嘆いていた。「他の区域の人も、帰れてほっとしても、どう生活すっか。子供も大丈夫かって」