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いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

つながり、そして明日へ 10(2/3ページ)

2012年12月20日付 中外日報

苦難は先が見えない。隣接する同じ農村の相馬市副霊山では、前年に「原発さえなければ」と書き残して自死した酪農家の牧場が、草深く静まり返っていた。あの現場には植木鉢が香炉代わりに置かれ、線香の灰がすっかり枯れた花束の周りに落ちていた。

小中学校近くに「帰ったぞー! 大運動会」と子供が描いたポスターが残り、商店の女性が「一昨日、地区総出で盛り上がりました」と教えてくれた。児童らも含め住民帰還が少しは進んだのがせめてもの希望だ。

より原発に近い南相馬市の小高地区を目指す。4月に立ち入り禁止の警戒区域が「避難指示解除準備区域」などに再編され、居住はできないが「自由に」出入りできるようになった。当初、山間部の国道114号を浪江町に向かう近道を走った。

所々の集落はゴーストタウン。崩れた家もあり、町内に入ると閉鎖された中学の校庭が除染土の集積場になっていた。通行車両は見えず信号だけがむなしく点滅する交差点を、警戒中の北海道警のパトカー数台が走り去った。やはり通行止めで改めて大きく1時間も迂回して市内に入った。

避難区域が解除された中心部では住民が心配ながらも徐々に戻り、市立総合病院では7月から「放射線健康カウンセリング外来」が開設されている。住民のホールボディカウンターによる内部被曝検査に伴いマンツーマンでデータ説明をしていたが、不安が広範に広がっているため全市民対象に専門外来を設けた。

「治療ではなく、あくまで不安を除くための相談。科学データや医療の話でもここでは生活や行政、政治の話になるのです」と及川友好・副院長(52)。

原発事故によるストレスは直後に避難などで3県で計34人の死者が出たことが復興庁の調査で判明。1年以上たっても深刻さを増し、福島県の病院で被曝恐怖による精神疾患が増加、各地でPTSDのケースも多いことが繰り返し報道された。