ニュース画像
横田管長の大導師で営まれた半斎法要
主な連載 過去の連載
エンディングへの備え
時代を生きる 宗教を語る
購読のお申し込み
新規購読キャンペーン
紙面保存版
トップ> いのち寄り添うリスト> つながり、そして明日へ 完結
いのち寄り添う ― 大震災 苦の現場から

つながり、そして明日へ 完結(4/5ページ)

2013年1月1日付 中外日報
城山の頂上で輝く神戸からの「希望の灯り」。眼下には一面の廃虚が広がる。彼方の湾内には「ひょうたん島」が望める(岩手県大槌町で)
城山の頂上で輝く神戸からの「希望の灯り

神戸の被災者を支えた希望の灯

海の見える山上にモニュメント

「本当にありがとう。夢に出てくるお母さん。いつもの変わらない優しい笑顔で、天国でも皆と仲良くやってるのかなって……」。避難所になりながら津波に直撃され、80人近くが死亡した岩手県陸前高田市の中央公民館。その廃虚の壁にここで亡くなった母親へのメッセージが書かれているのを昨年5月に見つけた市職員佐々木英治さん(40)は、「私たちを見守ってて」という前向きの言葉に心を動かされた。

自らも当時、同じ場所で一緒に波にのまれ、辛うじて3人だけが助かった。避難誘導をしていて犠牲になった同僚の小松博子さん=当時(58)=とメッセージを書いたその長女、次女の深い悲しみが分かる。話は広まって壁の保存を求める署名が各地から1700人分寄せられ、公民館解体に先立ち切り出された。「お母さんの人間としての素晴らしさが娘さんに伝わっていたのですね。そういう家族のつながりの意味を伝え残したいです」と佐々木さんは言う。

同市では2千人を超える死者不明者が出た。話題になった「奇跡の一本松」の再生保存が決まっても、市街地だった広大な泥の荒野は復興が手付かずのままだ。その町へ、阪神・淡路大震災の被災地から「希望の灯り」が届き、前年12月に人々の寄付で、海の見える山上にモニュメントが作られた。神戸で被災者の心の支えになり、暗闇に希望を照らした灯。

それを守り続け、この震災では多くの支援物資を真心のこもった手紙のやりとりと共に被災者に届ける活動をしているNPOの取り組みだ。

代表の堀内正美さん(62)は「今ともっているこの瞬間の灯は昨日の灯ではありません。震災の惨禍は、人間は1秒先にどうなるかも分からない存在だということを知ることでしか命は守れないと教えています。頼りないが消せない、何があっても両手を添えて守ろうとする。あえて灯にしたのは、そのように手から手へ伝え、語り継ぐためです」と語った。

昨年11月11日には、その灯が分灯され神戸からの分灯と共に同県大槌町にもたらされた。役場背後の城山の高台に設置されたモニュメントからは、やはり見渡す限りの廃虚が見下ろせる。町の再生は遠い。町教育委員として吉祥寺の高橋英悟住職は炊き出しなど支援活動と並行して、児童生徒に元気をと奔走する。