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過疎寺院苦渋の選択、宗教法人「譲渡」で波紋(1/2ページ)

2016年5月20日付 中外日報(時事展描)

富山県内の浄土真宗本願寺派寺院が経済的な事情で寺院の護持が困難になったとして、同派と対立する浄土真宗親鸞会(本部=同県射水市)に宗教法人格を「譲渡」しようとしている。関係者によれば、法人の解散を検討したが、堂宇の除却費用が捻出できないためという。過疎地域を中心に寺院の解散による財産処分に苦慮するケースは多く、「人ごとではない」と事情を知る関係者に波紋が広がっている。(池田圭)

財産処分めど立たず、対立教団へ

浄土真宗親鸞会への宗教法人格「譲渡」を協議している富山県の元本願寺派寺院
浄土真宗親鸞会への宗教法人格「譲渡」を協議している富山県の元本願寺派寺院

関係者や本紙が入手した資料によると、この寺院には門徒がなく、他の寺院の門徒の法事を代行するなどの「縁借り寺院」として活動してきたが、地域の過疎化や仏事の簡略化で法務が減少し、2007年から寺院活動が行われなくなった。

14年末に前住職が死去した後、現住職が宗派や所属教区などに相談しながら解散を検討。しかし、社会福祉法人への寄付なども検討したが財産処分の方途にめどが立たず、15年1月に「親鸞聖人の教えについての法話をしたりしている」(住職)親鸞会に譲渡を持ち掛けたところ、前向きな回答があった。

その際に親鸞会からは本願寺派からの離脱を打診されたため、昨年12月に同派との被包括関係を廃止した。親鸞会関係者への代表役員の交代が登記されれば、法人の「譲渡」が完了することとなる。

寺院は親鸞会幹部の同席の下、3月19日に住民説明会を開き、一連の経緯や今後の方針を説明。

住職は同会について「東西両本願寺とは違い、浄土真宗の教えを伝えることに非常に熱心な教団であることは以前から知っており、親鸞会に(法人譲渡の)話をさせていただいた」とし、譲渡後は住職・責任役員を退任すると話した。

本願寺派と親鸞会は教義の解釈などをめぐって激しく対立してきた。住民側は「親鸞会の悪い評判が入ってくる」と危惧し、寺院との話し合いの継続を要望。寺院側は地元町内会が堂宇の除却費用などを負担すれば、「宗教法人を解散することもやぶさかではない」と回答したが、折り合わなかったという。

親鸞会の担当者は「我々は仏教者として寄付されたものは拒否しないのが原則。譲渡の完了後はみ教えに沿った活動をしていきたい。現段階で譲渡は最終決定していないが、その方向で双方の弁護士を通して協議を進めている」と語った。