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過疎寺院苦渋の選択、宗教法人「譲渡」で波紋(2/2ページ)

2016年5月20日付 中外日報(時事展描)

各教団の対策、不十分

また、現段階で住職は本紙の取材に応じていないが、この担当者によると、住職に親鸞会所属の宗教者として活動する意向はないという。代表役員を退任した場合の住職への退職金の有無は不明だ。

本願寺派が親鸞会への譲渡の動きを把握したのは、住民説明会の直前だった。この寺院は宗派には「宗派との被包括関係を廃止した上で、解散手続きを進める」と説明していたという。それだけに他教団への譲渡は想定外だったとしている。

寺院の合併・解散による堂宇の除却には300~500万円程度が必要とされ、費用の工面に苦慮する当事者は少なくないという。

こうした寺院の合併・解散をめぐる問題への対応は伝統仏教界の大きな課題だが、各教団の対策は十分とは言い難い。

本紙の調べでは、寺院の合併・解散の事務費を上限20万円、境内建物の除却費用を上限100万円交付する制度がある本願寺派、「境内地の堂宇等が崩壊寸前で、放置すれば周囲に危険を及ぼすことが明らかである場合」に上限300万円を支給する浄土宗西山禅林寺派、また、規模の小さな教団で本山が財産処分や法人運営継承の受け皿になる例を除けば、目立った経済的な支援制度は見られない。

代表的な過疎地域の山陰地方の本願寺派住職は「近年は法律で廃材の処分も細かく規定され、そのための経費も除却費用に上乗せされる。寺院単独の努力で財産処分を終えるのはほぼ不可能だ」とし、「地元のある寺院で鉄塔建設の用地買収に絡めて除却費用を捻出した例がある。今後は行政などともタイアップしていく必要がある。そのための人脈づくりが重要だ」と語った。

近年、兼務寺院対策に力を入れる臨済宗妙心寺派で実務の中心を担う久司宗浩・宗門活性化推進局顧問は「寺院の解散に伴う財産処分は地元関係者の善意にすがっているのが現状」と言う。宗派として所属寺院の合併・解散への支援に取り組むべきかについては、「最後の最後まで面倒を見る」という姿勢が宗派・本山と所属寺院・信徒との信頼関係にも関わると強調した。