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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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災害時にお寺の水を活用 日蓮宗が計画(1/2ページ)

2016年11月25日付 中外日報(時事展描)

2021年に迎える宗祖日蓮聖人降誕800年の慶讃事業※の一つとして、日蓮宗が計画している「災害支援いのちの井戸プロジェクト」の概要が固まりつつある。震災発生時にトイレ用水などが不足するため、井戸がある寺院をスマートフォンの防災アプリに登録し、被災者に水を使ってもらう。防災意識の高さを示し社会貢献をアピールすることで、日蓮宗のイメージ向上を図る。一方、多くの人々が一つの井戸を使うことによる混乱にどう対応するかなど、課題も指摘されている。(有吉英治)

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日蓮宗寺院の被災者支援情報を掲載するスマホ防災アプリ
日蓮宗寺院の被災者支援情報を掲載するスマホ防災アプリ

まず全寺院の井戸に関する実態を把握する。井戸の有無、飲み水として使えるか生活用水かといった基礎情報と共に、災害時に一般開放する意思があるかを確認。併せて、帰宅困難者用の休憩場所や、3日間程度の一時避難所として客殿等を提供するかも聞く。

各宗務所を通じて全寺院に調査票を送付し、12月中に宗務院で集計。開放すると回答した寺院データを、3月をめどに防災アプリに登録する。

防災アプリはファーストメディア㈱が運営する「全国避難所ガイド」。自治体が定めた避難所やトイレが使えるコンビニなど約13万件の情報を収録しており、災害発生時には最も近い避難所への道順が表示される。利用は無料で、これまで約30万件ダウンロードされている。

太田順祥・宗祖降誕800年担当課長は「東日本大震災の時、被災者を受け入れた寺院は地域の人たちとの関係が深まり、門を閉ざした寺院は信頼を失った。寺院の公益性を考える上でも、多くの寺院を登録したい」と語る。

東京都大田区の永壽院には墓参で使う井戸がある。吉田尚英住職は「飲料にはならないが、もともと災害時のことも考えており、電動だけでなく手押しポンプも設置している」と話し、情報公開する考えだ。

宗祖降誕800年慶讃事業 「合掌の心を世界へ、未来へ」をテーマに、「寺院活性化」「人材育成」「ブランド化」の3本柱で10事業を行う。従来の記念事業で中心としていた建物建設などのハード整備より、布教ノウハウ開発といったソフト面を重視している。